院内新聞

矯正歯科で聞く「噛み合わせ」と「歯並び」の違いとは?顔立ちや輪郭に関わるかみ合わせ

かみ合わせと歯並びという言葉の違いについて説明しましょう。

かみ合わせと歯並びというのは全く異なる概念です。
噛み合わせとは動的なもので、歯並びというのは静的なものです。といってもわかりにくいかもしれません。

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このように、模型上できれいな歯並び(左の写真)であっても、本人が楽な位置で噛むと出っ歯になってしまう(右の写真)といったことがあります。
本当は、前歯は楽にかみ合わせたときに0.3mmくらいの隙間を生じるくらいに軽く当たっているのがベストです。
つまりこの場合、歯並びは完璧ですが噛み合わせにとても問題があるということになります。模型だけで判断するのは危険なのが分かるでしょう。
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これは咬合器といいます。これは、かみ合わせの位置を再現したり、装置に備わっているロックを外すと前後左右への動きも再現できます。また、装置を普段噛んでいる位置で閉じると、関節部分の異常を発見できたりと、例えるならかみ合わせを知るための文房具のような、非常に便利なものです。
当院では、矯正治療を行う前に咬合器、あごの関節のMRIやCTを使用した検査を行い、あごの関節に問題があればROTHスプリントというものを昼夜使ってもらうことであごの関節の症状や噛み合わせのずれを治癒、修正してから矯正治療に入ります。あるいは、治療前に問題が無くても、ワイヤー矯正の仕上げの段階でこのような噛み合わせのずれが現れてきた場合には修正し、ずれを解消します。

皆さんのかみあわせ=あごの位置は正常ですか?
実は当院に矯正相談にいらっしゃる方の70%にかみあわせ=顎の位置に不正がみられています。
かみあわせ=あごの位置の不正をを指摘されると、「エッ⁉」と驚かれる方がほとんどです。それはそのかみあわせが自分自身のくせになり溶け込んでしまっているので驚かれるのは当然のことだと思います。

顔立ちに関係する筋肉は、咬筋、頬筋、口輪筋、上唇と下唇、内外側翼突筋、顎二腹筋、舌骨上筋群などが考えられ、口唇の幅、アゴの輪郭、お口周りの緊張感、口唇の薄さに影響を与えます。側頭筋は頭痛とも関係があります。

その原因はあごの関節の位置が悪いことです。あごの関節の位置が悪いと、アゴの周りの筋肉の疲労感、圧痛、押していた気持ちいい感じ(違和感)が生じます。

これは、右側の耳の方向から、あなたを見たときのあごの関節の横断面とお考え下さい。右下の軟骨は平常時もズレており、完全に機能を失っています。本人は気づいていませんがお口の開け閉めもまっすぐ開け閉めできない状態でしょう。



上の方は中学2年生で、勉強を一生懸命にしている患者さんで、ストレスによるあごの痛みがあったのでMRIを勧めて撮りに行ってもらいました。
MRIでは、あごの関節の間に座布団のように挟まっている円盤状の軟骨を見ることができます。見てみると、
通常はintermediate zoneが下顎頭の中央に接していて、posterior bandが下顎頭の上方に来ているのですが、それらが前にずれているのが分かります。このままだとお口が開かなくなり、完全に前にずれて、骨吸収によりあごの成長や呼吸に影響を与え、今後は食事の時にあごの音がはっきりと鳴るようになり、まっすぐ開け閉めできなくなってしまいます。
そうなってからの治療による円板の復位はまず困難です。

CTだけでは位置が問題なくても、MRIで初めてあごの関節にダメージがあるのが分かることもあります。ですので、かみ合わせ治療の前後には、面倒ですがMRIの撮影に行ってもらい、診断することは重要です。(保険で0-8000円)

さて、

矯正治療と言いますと「歯並びを治す」ことと思われている方が多いかと思います。確かにその通りです。しかし実はかみ合わせ=顎の位置に不正が見られたまま歯並びを治していくと、エラが張ってきたり、奥歯が高いので食いしばったり、見た目に影響したり、後に顎ががくがくしたり、せっかく治した歯並びにズレが出てくるなど様々な症状がでてくることがあり、再治療になってしまうケースが見られてしまうのが少なくありません。

以下は、上記写真に関する解説です。

治療内容
スプリント
治療費用
スプリント治療基本料金 35~60万円
毎回の再診料 4,400円
治療期間・回数
治療期間目安 3ヶ月~1年5ヶ月
治療回数目安 3回~17回
リスク・副作用
※ 歯並びは治っていません。これからの治療となります。
スプリントは顎の関節を安静にして、顎の筋肉のバランスを整えて、顎の筋肉の成長に働きかける治療ですが、骨格の成長度合いには個人差がありますので、意図した通りに成長するわけではありません。
スプリントについては、著しく長期に使用した場合は、数年経過後に上顎前歯が前方へ傾斜する場合があります。
※ スプリント治療の方は、スプリント治療後に矯正を行います。(※ 個人差があります)
一般的なリスク・副作用(※要スクロール)
(1)最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
(2)歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
(3)装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
(4)治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
(5)歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
(6)ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
(7)ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
(8)治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
(9)治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
(10)様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
(11)歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
(12)矯正装置を誤飲する可能性があります。
(13)装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
(14)装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
(15)装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
(16)あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
(17)治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
(18)矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
スプリント(スタビライゼーションタイプ)のリスク及び副作用
効果には個人差があり、(1)めまい、(2)睡眠障害、(3)こわばり、(4)吐き気および/または嘔吐、(5)唾液分泌の増加、(6)咬合圧の増加、(7)口渇、(8)唇の乾燥、(9)いびきの増加がリスクおよび副作用として考えられます。
上記以外に、スプリントによって今までの噛み合わせ位置の変化およびそれによる顔貌の変化が生じるとその改善には矯正治療や外科的矯正治療が必要となります。
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