院内新聞

良いかみ合わせと食の習慣の関係

こんにちは。

最近かみ合わせが良くない状態の方を前よりも多く見かけるようになりました。
今後の傾向としてはさらに次の世代の方がアゴが小さくなるだろうと考えていいと思います。

最近の傾向としては顔は普通サイズですが、口やあごが不自然に小さくなっていて、唇が閉じにくくなってきました。
臨床上、上下4本の小臼歯の抜歯で済ますことができない状態をなんとか4本で済ませることが増えてきました。
それだけでなく、顎の外科手術が必須の方が通常の矯正を希望しているので、かみ合わせていくことについては断念せざるを得ない方の割合も、以前は50人に1人くらいでしたが、そういうレベルの人が10人いたら、1、2人は見かけるようになりました。

我々矯正医の請け負う仕事の難しさと患者さんの負担は、どんどん増加しています。

小学校の頃に顎が狭いから広げても、昔からの習慣や骨格でもともと顎が狭いとまたVの字になってしまい、矯正治療が残念ながら意味をなさないことも経験するようになりました。

歯を取り囲んでいる骨はalveolar bone(歯槽骨)といい、jaw bone(顎骨)とは区別されます。この骨は力学的な刺激がないと発達しないので、噛むことをしないとどんどん痩せていきます。
そういう成人に下手に拡大矯正をすると、CTなどで確認すると全ての臼歯の歯根の外側が痩せた歯槽骨からはみ出ることもあります。

よくかまないお子さんは、顎骨も小さいので歯があごに収まらなくなり、奥歯が正しい位置に生えてくれないので、上下の奥歯の山同士に不正な当たりが生じます。そうするとしっかり噛もうとしたときにあごの骨や顎の関節にたわみやゆるみが生じます。それによって顎関節症を発症し、顎の関節の軟骨を中心とする下顎の成長が阻害されて、あごが正常に発達しなくなり、アゴが小さくなるだけでなく、小中学生のうちにあごが後下方に開いて口が閉じにくくなってしまいます。

かみあわせ、顎関節、歯並び、骨格、横顔、歯槽骨、顔面の発達、筋機能を追求していくと一つの線でつながるように、現在の状態というのはそれらすべてが一つのシステムとして科学的に歯車のようにつながった結果です。

多くの科学論文を読んでいる矯正医には、患者の顔、歯並びを一目見ただけでそれらが線でつながります。
欧米の科学は利益中心ではなく、自然(nature)が第一であり、正義であるというキリスト教的な考えから発達しました。
矯正も、理想的な横顔の分析、数値化から欧米で安全な形で始まりました。
一つ例に出すと、1970年代にAndrewsという先生が、自然に良いかみ合わせを持っている人を数百人調査し、矯正専門医の治療症例との違いを比較することで、良いかみ合わせとは何かを0.1ミリ、1°単位で記録し、矯正治療のFormulaとして確立することを行いました。(現在「手軽に行える」デジタル矯正という名の下で、利益中心の株主の意向により、それも忘れられようとしています。)
自然が理想な状態で、われわれはそこから学び、人工的なものを自然なものに近づけることを目指さないといけません。

矯正医で人類学の領域から人の顎と歯の大きさの不調和を研究してきた井上直彦先生は、石垣島のある地域で40-50年にわたり保健活動を行った結果、現在その地域では不正咬合がほとんどいなくなったそうです。

井上、亀田先生らによると、ラットの実験では軟食飼育をすると継代的にアゴが小さくなっていっており、同様に現代人も、身長の伸びとともに顎が少し大きくはなっていますが、縄文時代から戦後まで一直線にアゴが小さくなってきてしまいました。また、現代人の歯の大きさは戦後よりもかなり大きくなっています。その関係で、今までにないくらい顎の大きさと歯の大きさに不調和が生じてきています。また、鼻炎などで口呼吸を生じている人も多くなってきています。
未来はもっと食が柔らかくなり、叢生はひどくなるでしょう。

また、叢生の生じている場所に歯周病や虫歯が生じていることが分かっています。
矯正で抜歯が必要な場所の歯の隣接面には95%の確立で歯の表面の白濁があったという郭による研究結果があります。

【根拠】
・江戸時代の将軍家は、軟食によって世代を追うごとにどんどんアゴが小さく顔が細長く、前歯が開咬になっていった。
・パプアニューギニアの住民の継続調査では、世代を追うごとに食習慣の欧米化と共に親知らずが正常に機能しなくなり、前歯のガタガタが出来るようになっていった。
・ラットの実験では、軟食飼育を続けると世代が下るとどんどんあごが小さくなっていくことがわかっている。
・宮古島のある地区で50年間、食習慣の改善指導を行ったところ、がたがたの子どもがいなくなった。
・縄文時代・古墳時代以前には切端咬合・受け口以外の不正咬合は珍しかった(100人中、70%は自然に噛み合っており、30%が受け口、出っ歯・がたがたは100人中1-2人)
・文明化以前には一般的に不正咬合は認められず、自然にしっかり噛み合っている(natural occlusion)。※ただし、オーストラリアのアボリジニは、食習慣が非常に歯がすり減るような厳しいものであったにかかわらず、先祖の系統において一時的な文明化によってアゴが遺伝的に小さくなった時代があっため例外的に叢生があると考えられている。

子どもが嫌がらないような食の習慣を早期から確立しましょう。

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