院内新聞

当院のCTの被曝線量(矯正のCTと子どもの被曝線量について)

CT、セファロ、パノラマなどのレントゲン写真は様々なケースで活用でき、大変便利です。
それだけに、ごく簡単な場合にもレントゲンを撮る機会が増えているように感じます。そこで、今回は医療被曝の安全性について調べてみました。
患者全員に対して使用しているセファロは、最近はデジタルでさらに低被爆なので、安全といえます。
CTに関してはどうでしょうか。昔出始めの頃には、医科用のヘリカルCTによる医療被爆が大きな問題になったことがありました。現在は当時の100分の1から1000分の1程度の線量ですが、とりあえず撮影しとく、というのはやはり控えるべきだと思います。医用X線はラジウム温泉とかの自然界のX線とは異なり、同じ量でもごく一瞬で放射されるので、生体への影響は単純にわからないこともある気がします。では、もしCTなどを使う必要があるときは、何に注意したら良いでしょうか。
小児の方はまず放射線に対する生体の感受性に気をつける必要があります。
放射能に対する影響は、10歳の小児で成人の4ー5倍、乳児は10倍、15歳で30代成人の2倍程度ありますから、それを計算に入れる必要があります。通常の矯正で使用されるワンショットセファロは、1方向からだけの放射なので、CTの1/20程度の低被爆、高画質です。パノラマ撮影は、CTと同じ断層撮影なので、おおまかにいうと被曝量は歯科用低被爆CTの1/3程度です。このようなことから、お子様の場合、正当な理由の無いCT検査は避け、通常はセファロ・パノラマに限定した方が良いでしょう。
CTは画質設定や機種によって線の密度、管の感度が大きく異なりますので、頭部全体のCTについても、歯科で68μSvの機種から、医科で1073μSvの機種まであり、一般的に歯科のCTの方が従来の機種よりも低被爆かつ高画質のことが多く、機種によって大きな差があります。ちなみに、年間1ミリシーベルト(1000μSv)までであれば健康に対する影響が認められないという指標があり、歯科のCTは機種、モードによりますが成人でその1/5から1/15、小児でその1/20から1/40の値となります。ちなみに、1/40というのはフィルム時代のパノラマレントゲンと比較して2/3の被曝量となります。

当院では、今までは紹介状をお渡しして他の医療機関でCT撮影をお願いしておりましたが、この度世界最低レベルの放射線量で3D撮影できる(国際放射線防護委員会の報告より)矯正歯科用CBCT、OC-300を導入しました。


矯正歯科では成長段階にあるお子様が多かったり、経時的な変化を観察するため複数回の撮影、両側顎関節の複数回撮影ということが考えられますが、OC-300はほとんどの歯科用CBCTや今まで撮影依頼していた場合と比べて1/10-1/30の線量で撮影できます。
当院では顎関節や埋伏歯については、歯医者で撮影している一番小さいレントゲンと同じ最低線量モード(4μSv)で5X5cmの領域を撮影しています。それでも十分細かく見ることができます。顎顔面全体もふつうの歯科用CBCT(1000μ-500μ)と比べて1/6-1/10程度の線量(75μSv)で撮影できます。

(なお、放射能で最も怖いのは、アルファー線やベーター線など密度の高い放射能を出し続ける放射性物質(セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなど)を甲状腺などの特定の組織に取り込んでしまうこと(内部被曝)です。医療用レントゲン自体は密度が薄く、一瞬に限りガンマ線を照射するもので、非常に安全性は高いですので過度に心配する必要はありませんご安心ください。)

なお、当院のCP-300 maxio 1枚の撮影における放射線量は、パノラマレントゲン(横長の歯列全体のレントゲン)で7マイクロシーベルト、セファロレントゲン(横顔全体のレントゲン)は5-7マイクロシーベルトです。症状がない人の場合、3D撮影モードで4(顎関節全体)マイクロシーベルトから12(智歯含んだ歯全体)マイクロシーベルトの設定で撮影しています。(撮影したい部分に痛みなどの症状があってより高画質で撮影したい人の場合は12マイクロ、最大で40マイクロ程度に設定を変える場合があります。

これが多いか少ないかについてですが、昔からあるフィルムパノラマレントゲン撮影装置(いわゆる歯医者さんの横長のフィルムレントゲン)では、一枚あたり30マイクロシーベルト程度、病院のCTで頭を撮る場合では300-1000マイクロシーベルト程度です。

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