院内新聞
子どもの矯正治療について②永久歯と乳歯の両方がある時期
②永久歯と乳歯の両方がある時期の矯正治療について
乳歯と永久歯の混在している時期についてですが、平均的な生え替わりですと
小学校低学年では6歳臼歯と上下の前歯8本が生えてくる時期。
小学校中学年であれば6歳臼歯と前歯が永久歯であとは乳歯の時期。
小学校高学年であれば犬歯とその後ろの歯が生えかわる時期です。
この時期には、これからのあごの正常な成長のための基礎を作ります。
この時期に行うことは、
①前歯のがたがたや前歯の突出をなくすための隙間を得るため、上下の歯列のアーチを広げ、隙間を作る。
②受け口であればあごの成長をコントロールすること。
③出っ歯であれば状況によって上あごの前下方への成長をおさえ、上の歯列を後ろに下げること。
④あごの成長が下方だったり後方だった場合(面長な場合)、あるいは口呼吸でお口ぽかんの状態、上の前歯と下唇が当たる状態(閉じにくい状態)であればあごの関節を安定化させるためのマウスピースを入れて、その後のあごの関節の健全化によりあごの関節を中心とする骨格の正常な成長をもたらし、あご先(オトガイ)の前方への自然成長を図る。(下図)
そうすると、気道が広くなり口呼吸がなくなる。(下写真)
⑤お口ぽかん、舌突出癖など、顔面の成長に悪影響を与える機能的な要因を取り除いておく。(関節と習癖は相互に原因していると考えられる。)
⑥ ④と⑤を行うことで生えかわり後の2期治療の時期、(この時期は、ちょうどあごの成長時期にあたる)において骨格が正常に成長し、スムーズな2期治療をすすめる土台を作る。
⑦いつまでも生えかわらない乳歯を抜歯する。
以上のこととなります。
そのために使用する装置としては、
※上下のアゴを広げるための取り外し式の装置
※出っ歯や受け口を改善するための部分的なブラケットとワイヤーによる装置
※受け口を改善したり悪化を防ぐための帽子
※受け口を治すため、歯に掛けてもらう輪ゴム
※開咬や出っ歯であれば上あごの突出感を改善させるための帽子の装置
※あごの関節に問題があって、下あごが後方や下方に下がっていたり、
あごの成長が足りない場合はあごの関節の問題を改善し、
アゴの位置を安定化させるためのマウスピース
があります。
以下は、上記レントゲン写真に関する解説です。
- 治療内容
- スプリント・マルチブラケット装置
- 抜歯の有無
- 上下両側第一小臼歯抜歯
- 治療費用
- 矯正治療基本料金 68.5~78.5万円
毎回の再診料5,500円
- 治療期間・回数
- 治療期間目安 1年3ヶ月~3年
治療回数目安 15回~36回
- リスク・副作用
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スプリントは顎の関節を安静にして、顎の筋肉のバランスを整えて、顎の筋肉の成長に働きかける治療ですが、骨格の成長度合いには個人差がありますので、意図した通りに成長するわけではありません。
スプリントは著しく長期に使用した場合は、数年経過後に上顎前歯が前方へ傾斜する場合があります。
※ スプリント治療の方は、スプリント治療後に矯正を行います。(※ 個人差があります)
- 一般的なリスク・副作用(※要スクロール)
-
(1)最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
(2)歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
(3)装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
(4)治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
(5)歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
(6)ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
(7)ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
(8)治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
(9)治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
(10)様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
(11)歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
(12)矯正装置を誤飲する可能性があります。
(13)装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
(14)装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
(15)装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
(16)あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
(17)治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
(18)矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
スプリント(スタビライゼーションタイプ)のリスク及び副作用
効果には個人差があり、(1)めまい、(2)睡眠障害、(3)こわばり、(4)吐き気および/または嘔吐、(5)唾液分泌の増加、(6)咬合圧の増加、(7)口渇、(8)唇の乾燥、(9)いびきの増加がリスクおよび副作用として考えられます。
上記以外に、スプリントによって今までの噛み合わせ位置の変化およびそれによる顔貌の変化が生じるとその改善には矯正治療や外科的矯正治療が必要となります。
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