院内新聞

大人と子どもの矯正治療とスプリントによるかみ合わせの治療

子どもも大人も、矯正治療を行う前にスプリントによってかみ合わせの土台であるあごの関節を作っていきます。

スプリント治療については、大人と子どもで分けて考えています。(中高生になって身長の伸びのピークを超えつつある場合は大人と考えてください。)

<大人の場合>
 大人の場合は基本的に食事以外、使用して頂きます。
 そのため、違和感がないように小さく調整します。
 大人の治療のポイントは2つあり、①たいていの人はあごをずらして噛んでいるため、矯正の治療方針をたてる際に本来のあごの正しい位置を特定しておくことと、②矯正治療の負担に耐えうるようなあごの関節を作ること(=あごの関節の安定化を図ること)となります。
 矯正治療というのは奥歯や前歯を全部動かしてしまうため、いつもかんでいる、習慣的に噛もうとする位置が一旦リセットされ、以前とは異なる楽な方で噛み始めたり、一時的に様々なところで噛もうとします。矯正治療中に噛もうとする位置が刻々と変化するので、それにとらわれない①理想的なあごの位置を事前に特定しておいたり、②矯正治療の負担に耐えられるようなあごの関節を作っておくことが重要なのです。
 スプリントの効果は3段階に分けられます。
 第一段階:あごの筋肉がリラックスし、頭痛や肩こりなどが緩和される。(筋肉のリラックス)
 第二段階:毎回の来院時にあごの噛んでくる位置が一点に収まってきて、どこで本当は噛みたいのかが分かってくる。(あごの正しい位置の特定)
 この段階では矯正を開始するための診断はできるようになります。しかし、まだスプリントを外すと今まで噛んでいた位置に戻ってしまうので、スプリントの治療効果は十分とは言えません。
 第三段階:矯正治療による歯の当たりの変化に耐えられるようなあごの関節がしっかりと作られている段階。
 この段階では、矯正治療のためにスプリントを外しても今まで噛んでいた位置に戻ることはなく、あごの関節が治癒しています。(顎位の安定化)

このように段階があり、当院では患者さんの要望や使用状況、治療効果などを踏まえてどの段階で次に進むかを判別しています。(本当は全員第三段階までもっていくのが一番良いと思います。)

このように大人に対してスプリントを使うことで矯正治療自体が目標に向かってスムーズに進行し、また治療後の後戻りが少なくなり、治療後には噛みにくさや違和感がなくなり、80才になって20本の歯を残す(8020運動)ことを目標に歯ぎしりなどのない安定したかみ合わせを作りあげていくことになるわけです。
 
<子どもの場合>
 スプリントは基本的に食事以外ずっと使用するのが良いですが、子どもの場合は、夜にあごが成長するので難しければ最低でも毎日就寝時の使用ということにする場合もあります。形態は使用期間が長期にわたることが想定されるので、破折などがないように厚みを持たせます。
 子どもの治療のポイントは、スプリントの期間が長期にわたるため、スプリントの副作用を極力起こさせないことが大事となります。あとは、あごが楽になる位置でスプリントを調整することであごの関節を正常化し、本来あるべき骨格の成長を図っていくこととなります。 

<あごの関節のMRI撮影>

 大人だけでなく子どもも、あごの関節のMRI撮影は診断やスプリントの調整の際に重要な資料となります。MRIなどであごの関節の軟骨に問題があった場合、若く初期の問題であれば回復させられる可能性がありますし、本人は気づかなくてもMRIの画像上であごの関節に問題が出かかっている際に、悪化を予防することができます。あごの関節に一旦問題が出ると、くいしばりなどの機能異常、上顎前突や顔面の非対称の原因になったりします。

 スプリントは2年以上にわたる場合、1年半から2年に1回程度の割合で作り替える可能性があります。
 これらによってスプリントを使用しなかった場合の矯正治療と比べると仕上がりが良くなり、簡単な装置で良好な治療効果を得ることができます。

<アキシオグラフ>

スプリント(アゴの位置を改善するためのマウスピース)で顎の位置を安定化させた後で矯正治療を開始する際に用意する模型と記録です。成人ではほとんどの方で顎のズレがあるため、現在では2時間かけて資料を取り、歯の分割モデルによる干渉歯(高い歯)の特定や、関節の動きや緩みがマウスピースによって改善したかを確認しています。

早く治療を進め、検査で良好な結果が得られるように、スプリントはフルタイムで頑張りましょう。
噛みやすくなってアゴのラインがすっきりするはずです。

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