院内新聞

健康のための予防矯正

 矯正歯科における予防治療とは、矯正治療によって不正咬合やかみ合わせのズレを未然に防ぐことだけでなく、矯正治療後の歯並びの崩れを予防し、維持するという意味もあります。

 お口を健康な状態で維持していくには健康な歯並びと歯ぐきももちろんですが、お口ぽかんや低位舌がなく呼吸や筋肉の働きが正常であることと同時に、アゴの関節やそれを支えている歯に無駄な負担がかからずに、軽い筋肉の力でも十分に頭部を維持できるかみ合わせであることも重要です。

 かつて訪問診療をしていたことがありますが、80歳で20本の歯を残す「8020運動」で表彰される人はほとんどが決まってきれいな歯をしており、100歳近くても意識がしっかりしている人は、やはり正常なかみ合わせできれいな歯をしていました。ところが若い人でも、かみ合わせが悪くて食いしばったり、アゴの関節が悪い人はいろいろな歯が欠けたりしみたり、虫歯になったりします。

 また、口呼吸の子どもにおいて集中力の低下や日中の眠気が多く見られたり、歯並びが狭くなったり、口蓋が高くなり(高口蓋)、アゴが後下方に下がりやすいことも分かってきています。東京大学の西原らによると動物は鼻呼吸で、口呼吸は人類特有の現象であるので、口呼吸によって口腔内のリンパ組織が細菌感染を起こし、ますます口呼吸を増長させ、筋肉の圧によって歯並びを悪くします。

 そのような悪化の一途に対して、当院で行うかみ合わせ治療をベースにした矯正治療、筋肉のトレーニングは有効な予防法です。

 かみ合わせについては、当院では通常の矯正歯科では行われないような下アゴの位置の修正(かみ合わせの改善)を矯正治療前に多くの成人に対して行います。歯ぎしりの原因歯の位置を特定し、口腔周囲の筋肉の緊張の原因から改善するため、美容外科などの見た目の対症療法ではなく副作用などもないため、顔立ちや顔の輪郭がより健康的に改善されます。

 口呼吸に対しては、当院では舌の挙上トレーニングによって歯並びや骨格の改善を促進させるように考慮しています。最近の睡眠の国際学会では、上顎の拡大を専門とする矯正医に対して、小児の舌の挙上が容易なことから発達を専門とする精神科医が矯正歯科に非常に大きな関心を持っていると聞きます。上顎の拡大治療は舌の挙上を助けるので、舌位が前上方へと改善します。また当院で行っているかみ合わせ治療による顎関節の健全化によって下顎の前方成長が促されることで、自然に舌の後方位が改善され、気道が広がることで鼻呼吸が容易になります。つまり、子どもの顎関節の状態を治すことで、オトガイの成長によって口が閉じやすくなり、口呼吸が改善するということです。(矯正歯科に来院する小学生の60%に顎関節の軟骨に位置異常があるといわれています。)

 最近明らかになったことによると、マウスの脳血流の研究において、軟食群で脳血流や脳細胞の活性の低下が報告されています。また、アルツハイマー病の原因であるベーターアミロイドの蓄積やパロチンの分泌に歯周病や咀嚼運動が関係しているそうです。歯周病と高血圧、脳血管障害、糖尿病との関連も示されています。
 ですから意識や健康状態がしっかりしていることと、きれいなかみ合わせと歯周組織であることとは決して無関係ではないのでしょう。

 

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