歯並びの悪さを放っておくとどうなるの?

  1. 出っ歯の原因にも

    上下の第二乳臼歯の前後関係が反対である場合(下図の遠心階段型)、将来出っ歯になったり、あるいは前歯の噛み合わせが深くなってしまう可能性が高いという報告があります※1。(※1 鍋田和孝ほか : 永久歯萌出に関する研究(第二報)terminal planeと第一大臼歯咬合関係, 小児歯誌, 20 : 411, 1982.)出っ歯の早期治療の公式的な見解についての詳細は日本臨床矯正歯科医会のホームページ(http://www.jpao.jp/10orthodontic-dentistry/1020thinking/)に記載がありますので、ご参照下さい。

  2. 受け口の場合は

    受け口である場合は、思春期に下顎が大きくなる前に、下顎の成長を抑制する目的でチンキャップをすることが有効とする報告があります※2(※2 Deguchi T. Force distribution of the temporomandibular joint and temporal bone surface subjected to the head-chincup force. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1998;114:277–82)しかしながら、おそらく重度と思われる遺伝性の受け口の双子における比較調査でチンキャップの効果を否定する論文もあり、チンキャップの下顎骨成長抑制効果については評価が定まっておりません。ただし上顎骨が後退していることによる受け口では上顎を前方に牽引することが受け口の改善に非常に効果的です※3(※3 William R Proffit 新版プロフィットの現代歯科矯正学 : 514-517 (2006))。上顎が原因なのか下顎が牽引の受け口なのか、受け口になりやすい骨格なのかは精密検査が必要です。下顎は、6歳というごく低年齢で一回目の成長のピークが発現するので※4(※4 Orthodontics : A patient education guide. American Association of Orthodontics ed)当院ではその頃から舌によって上顎を押すように練習したり、マウスピースによって舌を上顎に持ち上げる装置によって受け口改善のための治療を開始します(可及的にではありますがチンキャップを用いることもあります)。その後、思春期に上あごの成長が止まり、下あごがどんどん成長するために、前歯のかぶさりが徐々に浅くなりついには受け口が再発する場合がありますので、少しでも遺伝性が疑われる場合には思春期までに前歯のかぶさりを多めに深くしておかないといけません。一方すでに受け口がひどかったり、強い遺伝性が疑われる場合、本人が前向きであればチンキャップ装置の着用継続を勧めることがあります(チンキャップの効果については学術的な評価が定まっておりません)。最初の受け口の治療後、改善が安定していたり遺伝性が疑われない場合、低位舌に対する舌の挙上訓練などは必要に応じて再発予防的に行いますが、機械的治療による介入は行わずそのまま経過観察を行います。

  3. 歯を支える骨が狭い場合は

    歯を支える骨が狭くV字だったりする場合は、成人になってからの矯正では骨の大きさそのものを大きくしたり形を変えるためにはプレートを昼も夜も装着したり舌の訓練を行うなど非常に努力が必要になりますし、拡大非抜歯治療は成人では勧められないケースも多く、成長期に早めに改善した方がよいでしょう。なお、顎を広げることで、お鼻が狭い人は広く、お顔の横幅のバランスを良好に保ち、鼻呼吸を促します※5(※5 近藤悦子 Muscle wins!の矯正歯科臨床 Ⅻ-9 (2007) 医歯薬出版)。成長終了前であればあごの幅を装置で広げたり前歯の位置をコントロールことによって鼻腔の狭窄による鼻閉などを改善し、歯の生えるスペースを確保することで抜歯せずに治療ができる可能性が高くなることがあります※5。一方で結局抜歯することになるような歯の大きいケースでも、顎骨が狭い場合も多く、顎骨を正常な大きさにすることには意味があります※5。

  4. お口の機能に問題がある場合は

    早期受診により、ほおずえ、開口癖、くいしばり、指しゃぶり、異常嚥下、低位舌、咬唇癖などの悪い習慣を親御さんにお子様への指導を協力して頂くことにより、思春期に比べて悪習慣が改善しやすい傾向があります。また、成長期であれば装置によって骨格(とりわけ側貌に影響を与える顎先の部分の前後・上下的な位置や、上顎前歯の上下的な位置)の成長方向を悪化させずコントロール出来る場合があります。さらに、鼻閉、お口がぽかんと空いている場合や舌の位置がわるい場合、飲み込んだときに口元に力が入る場合などは以後の口元の筋肉や骨格の発達に大きく影響します※5,6(※6 口呼吸と顔面発達の関連についての報告(英文サイト) http://www.buteykochildren.com./free_downloads.php )。そのため早期の改善が必要です。くわしくは”かみ合わせとお口の機能”のページをご覧下さい。

噛み合わせ

噛み合わせ

(出典: 鍋田和孝ほか : 永久歯萌出に関する研究(第二報)terminal planeと第一大臼歯咬合関係, 小児歯誌, 20 : 411, 1982.)




歯並びは早い段階からの治療をおすすめします。

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